離歌7

  没旁人的时候,彭老人就跟三爷聊天,他总有这样那样的问题,好像头一天晚上在家里想好了揣在怀里似的,隔那么会子掏出来一个。
  “……三爷,有这么回事儿吧,人走之前,要是三天三夜不吃东西,身子便不会发臭,可以停放很久……”
  “要说老人啊,到岁数走的,那最后几天,肯定是水米不进的。所以,打我手上侍弄的,真一个个再干净不过……”说了一半,三爷想起来,对面这老人家也是七十三了,记住说话要仔细些。
  “你替人守过夜,听说,那最后一个晚上,人是会动一动的,那就是魂脱了肉身,把他所有念想的角落都要去看一看、走一走……那他是挑几个地方重点走一走呢?还是来得及仔仔细细全都瞧上一遍?”
  “这个啊……也说不好,反正,家里人记住所有的门都不能关就是……”三爷含含糊糊地答了。
 丧仪里的门道多得很,总之,一切只当那新死者是个刚投胎的孩子,吃的穿的用的包括走的道儿,都要替他一样样备好……这方面的话题,平常总有老人拐弯抹角地找三爷谈,一边那样当真地盯着他的眼睛,好像他真是阴间跟阳间的一个信使,两边的事都应当一清二楚。
 
 人が傍にいなければ、老人は三爷と話しをした。老人はいつもあれこれと問いかけた。まるで一晩中家でよく考えて胸に仕舞い込んだものを、暫くして出してくるようなものであった。
 
「・・・三爷、こんな事があるだろうかな。人は逝く前に、3日3晩食べなければ、体は臭わない、たとえ棺を長いこと置いておいても・・・」
 
「年寄りが逝く時ならなぁ、最後の幾日かは確かに物を食べないな。だから、丁寧に、本当にこれ以上清められないくらいにするけれど・・・」話しの途中で彼は思い至った。この老人も七十三歳である、気を配って話さなければならない。

 「通夜をしていると、聞くところでは、その最後の晩に、人は動くことがあるのだってな、それはつまり魂が肉体を離れて、心を残した隅々の全てを訪れるのだと・・・それでは、人は幾つかの場所を選ぶのだろうか?それとも此れ迄の仔細を全部一度に見るのだろうか?」
 
「それも・・・なんとも言えないな。いずれにせよ、家族は家中の戸を閉めちゃいけないのを忘れずにな・・・」三爷はあいまいな返事をした。
 
葬儀には多くの決まった手順がある、概して、一切はその新仏の生まれ変わりの子供のためで、食べる物着る物使う物を持たせて送ってやる、その子の為に準備万端整える・・・、いつもは遠まわしに三爷に探りを入れる老人が、この話題となると打って変わり、しかと彼の目を見詰める。あたかも三爷があの世とこの世を結ぶ使徒で、両界の事情をはっきりと知っているはずだというように。

  可三爷真不乐意跟老人们谈这些,他不愿看他们那依然活生生的脸,依然热乎乎的身板子。
  那一看,似乎就能够想象到,到了彼时,他眼洞凹陷,牙齿外露,须发继续生长,一夜之间花白杂乱……
  彭老人瞧出三爷的不自在,便哈地一笑换了话题。“小老弟,我倒问你,为何偏不娶妻生子?”

 しかし三爷は老人達とこのような話をするのはとても嫌だった。彼らのまだ温かい体と、生き生きとした表情も見たくなかった。
 
見れば、その日が訪れた時の、眼球が落ち窪んで、歯を剥きだし、一晩で乱れて死後も伸びる白髪交じり彼らを想像してしまうのだ・・・
 
彭老人は三爷の困った様子を見ると、「ははは」と笑い話題を変えた。「ちょっと聞いてもいいか、なぜ嫁を貰わなかった?」
  
   三爷沉吟着,怎么跟他说呢——――唉,从年轻时跟师傅学扎纸人马开始,打他眼里看过的,什么样的没有。新媳妇头胎难产去了的,活蹦乱跳夏天嬉水给拖走了的,喝醉酒落下茅坑起不来的,过大寿吃鱼给卡死的,造新房掉石灰坑里给烫没了的……哀乐相连,喜极生悲,生死之间,像紧邻的隔壁人家,一伸脚就过去了……他是越看越惊,越看越凉,凉了又温,慢慢地回转过来、领悟过来:罢了,索性——不娶妻,无得便无失;不生子,无生便无死。一个人过吧。
  “我这营生,哪个女人愿意?只能做老光棍呗。”三爷答。他一般总跟人这样说。他怎么好说实话呢,说出来好像就扫兴了、就得罪人家的平常日子了。
  “那你……倒是喜欢过哪个女人没有?你跟我说实话。完了我也跟你说个实话,说个我喜欢的……”彭老人要笑不笑的,谈兴正浓。
  “别难为我了。你有你就说吧。”三爷看出来,自己就是屁都不放一个,彭老人也是要说的。
  “算了,改天吧。”老人却又失悔了,缩了回去。他摆弄起一堆木板子,挑着长短厚薄,分堆儿搭配。

 三爷は考えこんでしまった、どう言ったらいいだろうか---そう、ごく若い時から親方に弟子入って副葬品作りを始めた。彼は何だって見てきた。若い嫁が初めてのお産で死に、夏の日に元気に水遊びしていた子が溺れて死に、酔っぱらいが便つぼに落ちて死に、老人が還暦のお祝で食べた魚の骨が喉に刺さって死に、新築の家の石灰穴に落ちて焼け死んだ者も・・・哀楽相連なり、喜びの極みに悲しみが生じる、生と死は壁で隔てた隣人のようだ、一歩を踏み入れたら届くのだ・・・見れば見るほど彼の心は冷えていった、経験するほどに虚しくなった。しかし冷えれば又温かくもなる。ゆっくりと気持ちを切り替えていくと、悟りが訪れた。もういい、いっそのこと---妻は要らない、いない者はいなくならない。子供も持たない、生まれなければ死にもしない。一人で生きて行こう。
 
「こんな仕事では、どんな女が俺に嫁ぎたいと思うか?独り身でいるしかない。」三爷は答えた。彼はいつも人にはこう言うのであった。本当の事を話せるものか、とたんに興ざめだ。人を不愉快にさせる。

「それでは、お前・・・好きな女はいなかったのか?話せよ。そうしたら、俺も話してやる。好きだった女の事を・・・」老人は曖昧に笑い、話に引き込もうとした。
 「困らせないでくれ。あにさんにあるのなら話せばいい。」彭老人でさえあったその種の話が、自分には何もないと三爷は思い知った。
 「もういい、今度にしよう」しかし、老人は悔やんでもいた。身をすくめて仕事に戻り、長さや厚さで板を選り分け其々に積みあげた。
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# by dangao41 | 2011-08-15 08:38 | 魯敏・離歌  | Comments(0)

離歌8

  三爷今天倒洒了几滴泪,背过众人——他宁可人家说他心硬,也不愿露出弱来。死的是胖大婶,她很胖,胖得走路有点外八字,胖得半夜睡着觉就突然过去了。
  这胖大婶,炒菜功夫好,不管多大的席面儿,她捧出的几十道菜,从来没人说淡嫌咸——莫道这话说得平常,炒三桌菜跟炒十桌菜,搁几把盐、下多少料、放几瓢水,要做到淡咸调停,岂是易事。东坝人家办丧事,头一桩要撑起台面的,就是这酒席要办得大、办得好,一应乡邻亲友,个个都要喝个脸色通红才算完事。二三十桌的流水席,随到随开,开了便上菜,上菜了便喝酒,酒足了便耍拳,越是闹腾才越是丧席的气派。胖大婶带着几个本家媳妇,前后伺候,绝无差池……

 この日、皆に背を向けて三爷は涙をこぼした---人には寧ろ情が薄いと思われた方がいいのに、思わず弱さを露わにしてしまった。死んだのは胖大婶だった。とても太っていたので外股で歩いていた。とても太っていたので夜中に寝ているうちに逝ってしまった。
 
胖大婶は料理が得意だった。どんなに大勢の宴席でも幾十もの料理を出して、誰にも味付けの文句を言われた事がない---実に大したものであった。三卓分であろうが十卓分であろうが、塩を幾掴みか振り、材料を入れ、水を掬って加える。ちょうどよく加減するのは易い事ではあるまいに。東堰の葬式では人々は体裁を重んじる。酒席は盛大に充分でなければならない。全ての同郷、親戚、友人の人々が顔が赤くなるまで飲んでやっとお開きになる。二,三十卓の流れ宴席では、客が入ってくれば料理を運び、料理が来れば酒を飲む。満足いくまで飲めば拳となる。騒ぎが賑やかな程、葬儀の格も立派と云う事になる。胖大婶は本家の嫁たちを従えて、初めから終わりまで一切が完璧であった・・・

  到了晚间,众人都散了,只有大和尚还在念经,供堂里烟雾缭绕,长明灯照着人影子都大了起来……胖大婶又另外收拾出几碟干干净净的菜,喊着三爷跟大和尚,还有帮厨打下手的,慢慢地吃喝。三爷这时也喝点酒解乏——总是胖大婶替他倒,倒一杯,他喝一杯,倒两杯便喝两杯。有时胖大婶忘了,不倒,也就不喝了。
  胖大婶每次起锅盛菜,都会先让出一小碟来,放到新死者的供桌前,对着那放大的相片儿轻声劝菜:趁热乎的,多吃点儿。
  可胖大婶自己也走了。

 夜も更けて、人々は去り和尚だけが経を唱えている。堂内は煙が立ち昇り、大きな灯りが人影を大きく照らしだす・・・胖大婶は片づけた皿に、また特別に菜を綺麗に盛り付けると、大声で三爷と和尚、台所の手伝いにも声を掛ける。ゆっくりやってね、と。三爷もこの時は飲んで疲れを癒す---いつも胖大婶が注いでくれる。一杯注がれたら、一杯飲む。二杯注がれれば二杯飲む。胖大婶が忘れて注いでくれなかったら彼は飲まない。
 
胖大婶は料理を盛る度、いつも先ず小皿に取って新仏に供える、大きく伸ばした写真に向かい小さな声で勧める「熱いうちに、たくさん食べて。」
 
それだのに、胖大婶自身が逝ってしまった。
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# by dangao41 | 2011-08-15 07:17 | 魯敏・離歌  | Comments(0)

離歌9

  第二天扎纸活,三爷另外送给胖大婶一个电冰箱。这玩意儿三爷没用过,估计胖大婶也没用过。可他知道,电冰箱是好的。一边扎,他一边跟彭老人说了会儿胖大婶。唉,一算,胖大婶才刚过六十呢。看人的命哪,多靠不住。
  彭老人在敲榫头,这活计耗人,他做得更慢了——最近,他开始把小木板一条条钉成大桥板,大桥板很宽,能容两人同行。他说,要弄,就弄座又宽又结实的好桥。三爷心下失笑,唉,这桥上面,怎可能人来人往,宽了也白宽。
  叮叮当当、慢慢吞吞地敲打中,他们还谈起东坝别的那些老人。哪个,是七十七走的,哪个,八十一走的,哪个,小五十就走了,唉,他们的模样、习性、口头禅,都还记得清楚着呢。三爷甚至记得,他们还活着的时候,就爱追着一家家看丧仪,越是年纪大了越是看得仔细——似是在看一场主角不同的预演,那神情,分明是心中有数、万事乃足。其实,他们对死亡的最大期许便是:床前晚辈儿孙齐全着,自己全身囫囵着,里外衣裳整齐着,安然死在自家的床上……可不能像城里人,切掉这个、割去那个,最后浑身插满管子,匆匆忙忙地死在不知哪里的医院里……那多可怜!这么的一比,瞧咱胖大婶倒有福气,死得可真好呢!

 翌日の副葬品を準備する。三爷は胖大婶に電気冷蔵庫も特別に作った。このような物を彼は使った事はなかったし、おそらく胖大婶もそうだったであろう。しかし彼は冷蔵庫は相応しいと思った。作りながら彭老人と胖大婶の話をした。数えてみれば胖大婶はやっと六十歳ではないか。考えてみれば、人の命のなんと当てにならない事か。
 
老人はほぞを叩いていたが、この仕事は力を消耗させる。更にのろのろとなっている---このところ、老人は小板を一本づつ釘で打ち付け大きな橋板を作る仕事に取りかかっていた。橋板はとても広く人が二人並んで通れる幅であった。作るからには広くてしっかりした橋をつくる、と老人は言う。三爷は密かに苦笑した、この橋を誰が行ったり来たりするものか、広くしたって無駄な事。 
 
とんとんとゆっくりと打付ける響きの中、二人は東墳の他の年寄りの話もした。あの人は七十七歳で逝ったし、あの人は八十一歳だった。あの人はまだ五十歳だったな、ああ、みんなの様子や仕草や口癖、まだはっきり覚えているよ。三爷は生前の彼らが他家の葬式のいちいちに参列したがっていた事も覚えている。年を重ねる程にますます注意深く見ていた---まるで主役が異なるリハーサルを見るように。その表情は明かに、事情に通じた自信を見せていた。万事こと足れり、と。実際、彼らが身罷る時に最も望む事は、枕元に親族みな集め、五体満足なまま、頭から足まですっかりと衣服を整えて、家の床で安らかに死を迎えることであった・・・町に住む人たちの様に、切除や切開して最後には体中に管を刺されて、何処とも知れぬ病院で慌ただしく死んでいくなど、考えることもできない・・・なんて哀れな!それに比べたら、胖大婶は幸せとも言える、いい死に方だったな!

  这么地谈了一会儿,彭老人忽然想到什么,他停下敲打,给水烟袋上满了烟丝,按结实了,却没抽。又隔了一会儿,才开口,有点掏心腹的样子:“三爷,托你件事儿。”
  “嗯?”
  “我那几个孩子,离开东坝久了,不懂这里的规矩,也不懂我的心思。所以我的事,得托付你。到了我那天,想在手边上,放几样小东西……”
  “看你说的,瞧你这身板子骨!”
  “三爷,这跟身板子骨没关系,你我不都明白?”彭老人用手摩挲他的水烟壶,那烟壶是铜的,有些泛红,一圈花纹均已磨得淡了。“头一样,是这个,用了一辈子,得带上。第二样,我想放双软布鞋,我备的那寿鞋,照规矩是高跟靴帮的,我怕穿不惯。第三样,你悄悄儿的,别让别人笑话,替我拽把庄稼果实,不挑,逢着当季了有什么就是什么,麦穗、玉米穗顶儿、棉花骨朵、大豆……不定什么,鲜鲜活活地替我弄上一把,放到我边上陪着——我离不开那些个。”
 
 こんな話を一頻りすると、老人は急に何か思い付き、打つのを止めて水煙管にきっちりと煙草を詰めたが、吸おうとはしなかった。そして暫くして心の内をさらけ出すかのように、やっと口を開いた。「三爷、頼みがある。」 
 「ん?」
 「俺の子供たちは東堰を離れて長い、ここの慣わしを知らないし俺の気持ちも分かっていない。あんたに頼むしかない。その日が来たら幾つか小物を入れて欲しい・・・」
 「何を言っている、体はまだ丈夫じゃないか!」
 「三爷、それとは関係ないんだ、俺の言うことが分からないか?」老人は水煙管を撫でながら言った。それは銅製で赤味がかっていて、一面の花紋はもう擦れて薄くなっていた。「先ずは、こうだ。ずっと使っていた物を持っていきたい。二番目に、柔らかい布草履を入れてもらいたい。寿沓は用意した、決りに従えば高沓だが、履くのに慣れないんじゃないかと思う。三つめ、これはこっそりやってもらいたい、人に笑われたくないからな。俺のために果物を穫って欲しい、何でもいいんだ、その時期に実った季節の果物と、麦穂にトウモロコシ、綿の実、大豆の莢・・・何と決めたわけじゃないが、新しくて生きがいいのを一掴み棺桶に入れてくれ。それがないと逝かれない。」 
   
  “成。你放心。”三爷还能说什么呢。这是明白事,人家说的也是明白话。
  “我先想了这三样……万一有加的,再跟你说。”彭老人忽然松下来似的,他不看三爷,却蹲下身去,撩那河水洗手,水花儿亮闪闪的。
当天晚上,三爷正准备睡下,忽然听到河对面儿有人喊他,声音并不响,压着:“三爷——”,一听,是彭老人的声音。三爷松了一口气,这不会是报丧,东坝人都还平安着呢。

 「分かった、心配しなくていい。」他に何と言えるであろうか。分かり切ったことだ、老人の気持ちは明白だ。
「先ずはこの三点を考えているんだが・・・もし追加するものがあったら、また言うよ。」彭老人は急に気持ちが軽くなったようであった。三爺を見ようとせず、しゃがんで河の水を掬って手を洗った。水滴がきらきらと輝いた。

その晩、三爷が眠ろうとした時、突然川向こうに誰かの叫び声を聞いた。大きくはなく押えた声であった。「三爺ーー」、彭老人の声だとすぐに分かった。三爷はほっと息をついた、葬儀ではない、東堰の村人はみな無事である。 

  三爷披衣出来了。月亮虽好,隔着河却瞧不清那对方的神色,老人语气急促促的:“三爷,有扰了。突然想起个事,睡不着——那个,到最后,给我带走的东西,是原样儿放在身边好呢?还是烧掉才好?我听说,这跟纸钱一样,不烧成灰化了我便得不着的。”
  东坝人对于神鬼,宽容而灵活,信与不信,只在一念之间。种种仪式,他们自是谨严执事,但于结果,并不当真追究。日常祷告亦是如此,如若灵验,欢喜不尽;倘使不灵,也无恼怒。
  于是,三爷想了一想:“我看,你原样儿放在身边是一套;另外我扎成纸活儿,烧化了再一套。这样,怎么都不会错了。”
  “可不是,瞧我这笨的!那就说好了,到时你得替我另外做这三样细活儿:扎个水烟壶、扎双布鞋外加一把时令庄稼……”彭老人顺手摸摸他手边码成垛子的木板,略有些羞惭:“不过我也不是光为这事来的,主要,是来瞧瞧咱的桥……”

 彼は服を羽織って出ていった。月は出ていたが、隔たった川向うの相手の顔ははっきりとは見えない。老人は口調もせわしなく「三爺、悪いな。急に思い出した事があって、眠れなくなった---それはな、俺が逝く時に入れてもらう品物な、そのままを入れてもらってもいいものか?それとも焼いたほうがいいのだろうか?聞いたところでは、紙銭と同じでちゃんと灰にならないと俺が向こうで使えないらしい。」
 
東堰の人々は仏や霊に対してはおおようで、しなやかであった。信じるも信じないも同じようなものなのである。様々な儀式は厳粛に執り行うが、それだからといって、全くの本気と云うのでもない。日常の祈りとはそのようなものだ。若し効き目があるなら大喜びだ。効き目がないとしても怒る事もない。
 そ れで三爷はちょっと考えた、「俺は思うんだが、本物を一組入れて、その他に俺がそっくりの紙細工を作って燃やす。こうすれば何も不都合はない。」
 
「なるほど、俺は盆暗だ!そうしよう。お前にあの三つを別に作ってもらう。水煙管と布履と時期の農作物を・・・」老人は積み上げた木材を擦った、些か恥ずかしそうであった。「だけどな、これを言うためだけに来たんじゃないぞ。俺たちの橋を見ようと思ってな。」
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# by dangao41 | 2011-08-15 06:49 | 魯敏・離歌  | Comments(0)

離歌10

  一个夏天过去,有了众人零打碎敲的帮忙,加之彭老人日日不舍,这木桥,其构件似乎也弄了个大概齐——大半人高的丫形木桩共七对,木条拼成的大宽板子结结实实,足有二三十块。可这到底不是搭积木,那河水又总在河里,总在流着,怎么个安放下去呢?放下去会不会又被冲走呢?
  妇女孩子们不懂,只乱出主意。男人庄稼汉们,都是外行,也没个主张。彭老人丢了几块砖到河中心,看那水花的大小,听那落底的动静。他想了一想,最后拿出个大主意:等冬天吧,水枯下去一些,咱再下桩。
  众人一想,也对,一个个笑嘻嘻的,无限乐观起来,一边往那空荡荡的河上瞧。可不是,瞧这夏季里河水肥的,绿叶子在上面漂着,水草与田螺在底下长着。

 夏が過ぎていった。ぽつりぽつりと手伝ってくれる村人もいて、老人は毎日こつこつ仕事を続けた。木橋の部材は大体揃ったようであった。人の高さ程のY型の柱が七組、繋がれた広い板はしっかりと仕上がり全部で2,30枚もありそうだった。しかし、積み木を組む分けではない、河には水があり、その水は流れている、どうやって安定させるのだ?組み終わったら又壊れてしまわないだろうか?
 
女子供は分からないくせに、ただ色々と口をはさむ。男たちは農民で素人であるので何も思いつかず言えない。老人は煉瓦をいくつか川の真ん中に放り込む。大小のしぶきがあがり川床に落ちてゆく水音が聞こえる。老人は考えを巡らせ、最後に気持ちを決めた。冬になったら水は少なくなる、そうしたら杭を打とう。
 
村人たちはちょっと考えて賛成し、先の見通しが立ったように思い、みな嬉しそうに笑いながら、広い川を眺めた。成るほど、この夏は水量が多い、流れは面に緑の葉を浮かべながら、その底では水草と田螺を育てている。
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# by dangao41 | 2011-08-15 05:21 | 魯敏・離歌  | Comments(0)

離歌11

  没等立秋,彭老人就忙着给桥桩上桐油了。天气燥,干得快。
  他每天上午下午各来一趟,慢慢儿一根一根刷。又香鼻子又辣眼睛的桐油味儿弥散开来,把人都给熏得昏沉沉的。
  河水忽快忽慢地淌着,也似让这桐油香给迷糊了。
  这天下午,他来刷第二遍。三爷刚刚午睡了起来,坐在树阴下的桐油味儿里发呆。
  “三爷,我给你讲个故事醒觉吧。”看着太阳下油得发亮的桥桩,彭老人高兴起来。“就是上次答应跟你说的……喜欢个谁……”
  三爷其实倒忘了。“敢情好,那你说说。”
  “说起来,那时我还没结婚呢……”
  “嗯。”三爷揉揉眼睛,没睡醒。
  “她呀,就住在河对过、在你那边。那时河对面是有两三家人的。”彭老人往三爷后面张望起来,像在看  很远的地方。
  三爷给他看得犯疑,也往后看看。除了半片山,没别的。


 立秋も待たず老人は橋桁に桐の油を塗るのに忙しくしていた。からっとした天気なので乾くのが早い。
老人は毎日午前も午後もやって来て、のんびりと一本一本塗っていた。鼻を突き目を刺す桐油の臭気は広がって人をぼうっとさせる。川は急に速くなったと思うと、またゆっくりとなりながらも、せわしなく流れて行く。桐油の匂いに川もまた迷わされているようであった。
この日の午後、老人は二度目の油を塗りに来た。三爷は午睡から起きたばかりなのに、木陰に座り桐油の匂いでぼんやりとしていた。

 「三爷、目ざましに一つ話してやるよ。」陽に照らされて橋桁は油で光り、老人は楽しそうであった。「ほら、この前お前に話してやるっていった・・・好きになったあれの・・・」
 だが三爷はその実、忘れていた。「それはいい、あにさん、聞かせてくれよ。」
 「そうさな、あの時俺はまだ結婚していなかった・・・」
 「うん。」三爷は目をこすった、目が覚めない。
 「彼女は河の向こうに住んでいた。お前のいるそっちにな。あの頃は2,3軒の家があったんだ。」老人は遠くを見るように、三爷の後ろの方を眺めた。
老人が何を見ているのかと、訝しく三爷も振りかえった。山の半分以外は何もない。
   
  “她那时才十九,夏天在河边洗衣服时,总喜欢用木盆舀了水洗一洗头……我就在这边瞧着……那头发,可真黑,还亮。”
  “我隔着河跟她说话。她低头听着,但不应。”
  “有一次,她手一滑,木盆落到河里了,漂到河中央了,我下去替她捞了。这样,她才跟我说起话来……”
  “我过桥到她家去过一趟。她有个哥哥,腿不好,从小不能站。我跟她哥哥说了几句。她就在她房门前站着,总瞧着我,我也总瞧着她。”
  “不久,他哥娶了、她嫁了,是同一个人家。她若不嫁,她哥便娶不了。”

 「あの子は19だった、夏に河で洗濯をする時はいつも、木桶で水を汲んで髪を洗うのが好きだったな・・・俺は此処から見ていた・・・あの子の髪は真っ黒でつやつやしていた。」
 「俺は川をはさんで話し掛けた。彼女は顔を伏せて聞いてはいたが、返事はしなかった。」
 「一度、手を滑らせて木桶を落としてしまった。川の真ん中まで流されたから、俺は取ってやったよ。それで、やっと俺に口をきいた・・・」
 「橋を渡ってその子の家に一度行った事がある。兄さんがいたが足が悪くて、小さい頃から立てなかった。その兄さんと俺は少し話をしたよ。あの子は戸のところに立って、じっと俺を見ていた。俺も見つめていたよ。」
 「暫くして兄さんは結婚し、あれも嫁いだ。兄嫁さんの実家にな。もしあの子が行かなかったら、兄さんのとこに嫁も来ないのさ。」

  “过了两年,我也就托人说媒另娶了亲。你们河那边,我就再也没去过。”
  “这事情,本以为,我早忘了……可奇怪,到老了,倒记得越来越清爽,有过那么一回,我过了桥去她家……”
  还等着往下听呢,老人倒结束了,嗨,就这么着,也算个故事?三爷闭着眼摇摇头:“你倒说得我更瞌睡了。”
  彭老人倒也没生气,他举起手嗅嗅上面的桐油味儿:“我那口樟木棺材,这两天我也顺便在给它上油呢,真好,黑黑亮亮,瞧着都踏实……好了,回去!”
  三爷瞧他拎着小油桶的背影,头一次发觉,咦,这老人,背都那么驼下来了!三爷瞧见许多老人,从驼背开始,就老得特别的快了——好像被大地吸引着,往下面走似的。

 「二年経って、俺も世話してもらって嫁を取った。川のそっちのお前の方へは、それから行った事がない。」
 「この事は、もうすっかり忘れていた・・・だがおかしな事に、年を取ったら却ってはっきりと思い出される。一度あるんだよ、この橋を渡って彼女の家に行った事がな・・・」
まだ聞こうと思っていたのに、老人は口を閉じた。ああ?話はそれだけなのか? 三爷は目を閉じ頭を揺らした。「あにさんの話でもっと眠くなった。」
 
老人は気を悪くもせず、手を上げ桐油の臭気を嗅ぎ「俺の樟の棺桶も、昨日と今日、油を塗った。凄くいいぞ。黒く艶々で見てるだけで落ち着く・・・さあ、帰るか。」
三爷は油の小桶を提げた老人の後ろ姿を見て、初めて気がついた。ああ、この人の背中はこんなにも丸くなっていたのか!たくさんの老人を見てきたが、背中が曲がり始めると、急に老けこんでしまう、まるで地面に引っ張られて沈んでいく様ではないか。
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# by dangao41 | 2011-08-15 04:54 | 魯敏・離歌  | Comments(0)