順姐の自由恋愛2

她原先每星期的上午分别在几家做,逐渐把每个上午都归并到我家来。
她家人口不少。“姐姐”有个独生女,最高学府毕业,右派分子,因不肯下乡改造,
脱离了岗位。这位大小姐新近离婚,有一个女儿一个儿子,都归她抚养,离异的丈夫每
月给赡养费。顺姐自己有个儿子已高中毕业,在工厂工作;大女儿在文工团,小女儿在
上学。

始め彼女は午前は曜日決めでに何軒かの家の仕事をしていたが、次第に毎日私の家だけに来るようになった。彼女の家族は多かった。“姐姐”には最高学府を出た一人娘がいて、右派分子の下放改造を受け入れなかったため、失職していた。このお嬢さんは離婚していて息子と娘を自分が引き取って育て、元夫からは毎月の養育費を受けていた。順姐自身には高校を出て働いている息子と、演芸団員の長女と学生の次女がいた。

我问顺姐:“你‘姐姐’早饭也吃个馒头吗?”
“不,她喝牛奶。”
“白牛奶。”
“加糖。”
“还吃什么呢?”
“高级点心。”
那时候还在“三年困难”期间,这些东西都不易得。我又问别人吃什么,顺姐支吾其辞,
可是早饭、午饭各啃一个冷馒头的,显然只顺姐一人。
“你的钱都交给‘姐姐’?”
“我还债呢,我看病花了不少钱呢。”
我当时没问她生什么病,只说:“她们都不干活儿吗?”
她又含含糊糊,只说:“也干。”

「あなたの“姐姐”も朝マントウを食べるの?」と聞くと、
「いや、あの人は牛乳を飲むんです。」
「そのままで?」
「砂糖をいれて。」
「他に何か食べるの?」
「上等な点心。」
まだ“三年困難”な時期であったからそう云った物を手に入れるのは易しい事ではなかった。他の家族は何を食べるのかとも聞くと、順姐は言葉を濁したが、朝も昼も冷たいマントウをかじっているのが彼女だけなのは明らかであった。
「あなたのお給料はみんな“姐姐”に渡すの?」
「まだ借りがあるんでネ。病気でお金をたくさん使ったですからネ。」
私はこの時は何の病気だったか聞かないで、ただ「みんなは働かないの?」と聞いた。
彼女はやはり歯切れも悪く、「働いてる。」とだけ答えた。

有一天,她忽从最贴身的内衣口袋里掏出一个破烂的银行存折给我看,得意地说:
“我自己存的钱呢!”
我一看存折是“零存零取”,结余的钱不足三元。她使我想起故事里的“小癫子”
把私房钱藏在嘴里,可惜存折不能含在嘴里。
我说:“你这存折磨得字都看不清了,还是让我给你藏着吧。”
她大为高兴,把存折交我保管。她说,她只管家里的房租、水电、煤火,还有每天
买菜的开销;多余的该是她的钱。她并不花钱买吃的,她只想攒点儿钱,梦想有朝一日
攒得一笔钱,她就是自己的主人了。我因此为她加了工资,又把过节钱或大热天的双倍
工资等,都让她存上。她另开了一个“零存整取”的存单。

ある日、彼女はいきなり下衣のポケットからよれよれの預金通帳を出して私に見せ、得意そうに
「自分で貯めたお金ネ!」と言った
見ると“少額を入れたり出したり”で残高は三元にも満たないのだ。口の中にへそくりを隠す“小狂人”の話を思い出させたが、残念ながら通帳は口に入らない。
「あなたの通帳は擦れて字がはっきりしないわ、私がしまっておいてあげましょうか?」
彼女はとても喜んで通帳を私に預けた。家賃、電気水道、石炭、毎日の食費の支払いは彼女が受け持ち、余ったお金が彼女のものと云う。決して食べ物を買ったりしないでお金を貯める事だけ考えていた。そしてそれがまとまった金額になる日を夢見ていた。そうしたら彼女が自分の主人になれるのだ。お金を貯められるよう私は彼女の給金を上げ、節句や酷暑の日には倍の支払いをした。彼女は新しく“積立”の口座を作った。

每逢过节,她照例要求给假一天。我说:“你就在我家过节不行吗?”她又大为高
兴,就在我家过节,还叫自己的两个女儿来向我拜节。她们俩长得都不错,很斯文,有
点拘谨,也带点矜持。顺姐常夸她大女儿刻苦练功,又笑她小女儿“虚荣呢”。我给顺
姐几只半旧的手提包,小女儿看中一只有肩带的,挂在身上当装饰。我注意到顺姐有一
口整齐的好牙齿,两颊两笑涡,一对耳朵肥厚伏贴,不过鼻子太尖瘦,眼睛大昏浊,而
且眼睛是横的。人眼当然是横生的,不知为什么她的眼睛叫人觉得是横的,我也说不明
白。她的大女儿身材苗条,面貌秀丽;小女儿是娇滴滴的,都有一口好牙齿。小女儿更
像妈妈;眼神很清,却也横。

節句の度にいつも彼女は一日の暇を願い出た。「ここでお節句をするのはどう?」と言うと、彼女はやはりとても喜んで、私の家で過ごすようになった。二人の娘も私に挨拶するように連れてきた。二人とも上品で生真面目で自尊心も持っていた。長女は骨身を惜しまず稽古に励んでいると、順姐はいつも言っていた。そして次女は“ええかっこしい”だと笑っていた。私が順姐にお古の手提げを幾つかあげると、次女は中の一つで肩掛けの付いているのが気にいり、身につけた。私は順姐の綺麗に揃った歯と、両頬の笑くぼ、形のよいふっくらした耳に気が付いた。けれど細い鼻は尖がり目は澄んでいなかった。しかも目が横に平たいのだ。人の目はもちろん横についているのだから、なぜ彼女の目が特に横の感じを与えるのか私には分からない。長女は華奢な体に美しい顔立ちで、次女は愛嬌があり、二人とも綺麗な歯をしていた。次女は母親に似て、澄んではいたがやはり横になった目をしていた。  (目が横???)

顺姐常说我喝水太多,人都喝胖了。
我笑问:“你胖还是我胖?”
她说:“当然你胖啊!”
我的大棉袄罩衣,只能作她的紧身衬衣。我瞧她裤子单薄,给了她一条我嫌太大的
厚毛裤,她却伸不进腿去,只好拆了重结。我笑着拉了她并立在大镜子前面,问她谁胖。
她惊奇地望着镜子里的自己,好像从未见过这种发胖的女人。我自从见了她的女儿,才
悟到她心目中的自己,还像十几岁小姑娘时代那么苗条、那么娇小呢。

順姐はいつも私が水分を取りすぎると言っていた、太ると言うのだ。
私は笑って言った「あなたと私とどちらが太っているかしら?」
「もちろん奥さんですよ!」
私の綿入れの上着は、彼女にはぴたぴたの下着にしかならない。彼女が薄手のズボンを穿いていたので、私には大きすぎるので好きではない厚手の毛織のズボンをあげた。だが足が入らない、縫い目を解くしかないだろう。私が笑いながら彼女を鏡の前に引っ張っていき、どっちが太っているかと尋ねたると、まるで見知らぬ太った女を見るように、彼女は不思議そうに鏡に写った我が身をながめていた。彼女の娘たちに会ったからこそ私には理解できたのだが、彼女の心にあるのは未だ10代だった娘の頃の、あんなにもほっそりとした、あんなにも愛らしかった自分の姿だったのである。

我为她攒的钱渐渐积到一百元。顺姐第一次见到我的三姐姐和七妹妹,第一句话都
是“太太给我攒了一百块钱呢!”说是我为她攒的也对,因为都是额外多给的。她名义
上的工资照例全交给“姐姐”。她的存款逐渐增长,二百,三百,快到四百了,她家的
大小姐突然光临,很不客气,岸然进来,问:

彼女のために貯めておいたお金はようやく百元になった。順姐が私の三姐や七妹に初めて会った時の第一声はいずれも「奥さんが百元貯めてくれたんですよネ!」だった。預かってもてもくれたし、何より余分にお給金をくれたから貯まったのだ、と言う。彼女の表向きの給料はいつも“姐姐”に全額行ってしまうのだから。順姐の貯金が二百、三百と次第に増えて四百元になろうとする頃、本妻のお嬢さんが突然にお出でになった。たいそう無遠慮に取り澄ましてやってくると尋ねた。

“我们的顺姐在你家做吧?”
她相貌端庄,已是稍为发福的中年人了,虽然家常打扮,看得出她年轻时准比顺姐
的大女儿还美。我请她进来,问她有什么事。
她傲然在沙发上一坐,问我:“她每月工钱多少?”
我说:“你问她自己嘛。”
“我问她了,她不肯说。”她口齿清楚斩截。
我说:“那么,我没有义务向你报告,你也没有权利来调查我呀。”
她很无礼地说:“唷!你们倒是相处得很好啊!”
我说:“她工作好,我很满意”。
她瞪着我,我也瞪着她。她坐了一会儿,只好告辞。

「家の順姐はお宅で働いておりますね?」
端正な顔立ちの、いささか福々しい中年女性で、普段着であったが若い頃は順姐の長女よりも更に美しかったに違いないと見てとれた。私は招き入れ要件を尋ねた。
お嬢さんはソファに傲然と座ると「あの人の月々のお給料はいかほどでしょうか?」と聞いた。
「ご自分でお聞きになってくださいな。」と私は言った。
「聞きましたけど、言おうとしません。」彼女は言葉もはっきりと答える。
「では、私は答える義務はないし、あなたも聞く権利はありません。」
「まあ、なんて仲良くやっている事!」彼女は言った。
「よく働いてくれて、満足していますよ。」私は言う。
彼女は私を睨みつけ、私も見返した。彼女はしばらく居座っていたが、暇を告げるしかなかった。

这位大小姐,和顺姐的大女儿长得比较相像。我因此猜想:她们的爸爸准是个文秀
的少爷。顺姐年轻时准也是个玲珑的小丫头。
据顺姐先后流露,这位大小姐最利害,最会折磨人。顺姐的“姐姐”曾给她儿子几
件新衬衫。大小姐想起这事,半夜三更立逼顺姐开箱子找出来退还她。顺姐常说,她干
活儿不怕累,只求晚上睡个好觉。可是她总不得睡。这位大小姐中午睡大觉,自己睡足
了,晚上就折腾顺姐,叫她不得安宁。顺姐睡在她家堆放箱笼什物的小屋里。大小姐随
时出出进进,开亮了电灯,翻箱倒柜。据同住一院的邻居传出来,这位小姐经常半夜里
罚顺姐下跪、打她耳光。我料想大小姐来我家凋查顺姐工资的那天晚上,顺姐准罚跪并
吃了耳光。可是她没有告诉我。

お嬢さんは順姐の長女とよく似ていた。このことから私は、子供たちの父親は眉目秀麗な若旦那だったのだろうと思った。順姐も若い時は美しい娘であったろう。
順姐がその前後に洩らした事によれば、このお嬢さんは最悪でひどく意地悪だという。“姐姐”が息子に新しいシャツを数枚くれた事があった。お嬢さんはこれを思いだすと、真夜中に返せと順姐に迫り、箱を開けて探させた。夜ぐっすり睡眠をとれさえすれば、仕事で疲れるのは構わないと順姐はいつも言っていた。しかしこれでは全く眠れない。お嬢さんは昼寝をするので寝足りている。夜になると順姐を苛めるので彼女は安眠できない。順姐は物置部屋に寝ているのである。お嬢さんは好きに出入りし、浩々と灯りをつけ物入れをかき回す。近所の噂によればお嬢さんはしょっちゅう夜なかに順姐を叱って土下座させひっぱたくという。お嬢さんが我が家に給金の額を調べにやって来たあの晩も、順姐は座らせられて頬を張られた事であろうと私は思った。けれど彼女が私にそれを告げる事はなかった。 
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by dangao41 | 2011-08-23 09:48 | 楊絳 | Comments(0)