離歌11

  没等立秋,彭老人就忙着给桥桩上桐油了。天气燥,干得快。
  他每天上午下午各来一趟,慢慢儿一根一根刷。又香鼻子又辣眼睛的桐油味儿弥散开来,把人都给熏得昏沉沉的。
  河水忽快忽慢地淌着,也似让这桐油香给迷糊了。
  这天下午,他来刷第二遍。三爷刚刚午睡了起来,坐在树阴下的桐油味儿里发呆。
  “三爷,我给你讲个故事醒觉吧。”看着太阳下油得发亮的桥桩,彭老人高兴起来。“就是上次答应跟你说的……喜欢个谁……”
  三爷其实倒忘了。“敢情好,那你说说。”
  “说起来,那时我还没结婚呢……”
  “嗯。”三爷揉揉眼睛,没睡醒。
  “她呀,就住在河对过、在你那边。那时河对面是有两三家人的。”彭老人往三爷后面张望起来,像在看  很远的地方。
  三爷给他看得犯疑,也往后看看。除了半片山,没别的。


 立秋も待たず老人は橋桁に桐の油を塗るのに忙しくしていた。からっとした天気なので乾くのが早い。
老人は毎日午前も午後もやって来て、のんびりと一本一本塗っていた。鼻を突き目を刺す桐油の臭気は広がって人をぼうっとさせる。川は急に速くなったと思うと、またゆっくりとなりながらも、せわしなく流れて行く。桐油の匂いに川もまた迷わされているようであった。
この日の午後、老人は二度目の油を塗りに来た。三爷は午睡から起きたばかりなのに、木陰に座り桐油の匂いでぼんやりとしていた。

 「三爷、目ざましに一つ話してやるよ。」陽に照らされて橋桁は油で光り、老人は楽しそうであった。「ほら、この前お前に話してやるっていった・・・好きになったあれの・・・」
 だが三爷はその実、忘れていた。「それはいい、あにさん、聞かせてくれよ。」
 「そうさな、あの時俺はまだ結婚していなかった・・・」
 「うん。」三爷は目をこすった、目が覚めない。
 「彼女は河の向こうに住んでいた。お前のいるそっちにな。あの頃は2,3軒の家があったんだ。」老人は遠くを見るように、三爷の後ろの方を眺めた。
老人が何を見ているのかと、訝しく三爷も振りかえった。山の半分以外は何もない。
   
  “她那时才十九,夏天在河边洗衣服时,总喜欢用木盆舀了水洗一洗头……我就在这边瞧着……那头发,可真黑,还亮。”
  “我隔着河跟她说话。她低头听着,但不应。”
  “有一次,她手一滑,木盆落到河里了,漂到河中央了,我下去替她捞了。这样,她才跟我说起话来……”
  “我过桥到她家去过一趟。她有个哥哥,腿不好,从小不能站。我跟她哥哥说了几句。她就在她房门前站着,总瞧着我,我也总瞧着她。”
  “不久,他哥娶了、她嫁了,是同一个人家。她若不嫁,她哥便娶不了。”

 「あの子は19だった、夏に河で洗濯をする時はいつも、木桶で水を汲んで髪を洗うのが好きだったな・・・俺は此処から見ていた・・・あの子の髪は真っ黒でつやつやしていた。」
 「俺は川をはさんで話し掛けた。彼女は顔を伏せて聞いてはいたが、返事はしなかった。」
 「一度、手を滑らせて木桶を落としてしまった。川の真ん中まで流されたから、俺は取ってやったよ。それで、やっと俺に口をきいた・・・」
 「橋を渡ってその子の家に一度行った事がある。兄さんがいたが足が悪くて、小さい頃から立てなかった。その兄さんと俺は少し話をしたよ。あの子は戸のところに立って、じっと俺を見ていた。俺も見つめていたよ。」
 「暫くして兄さんは結婚し、あれも嫁いだ。兄嫁さんの実家にな。もしあの子が行かなかったら、兄さんのとこに嫁も来ないのさ。」

  “过了两年,我也就托人说媒另娶了亲。你们河那边,我就再也没去过。”
  “这事情,本以为,我早忘了……可奇怪,到老了,倒记得越来越清爽,有过那么一回,我过了桥去她家……”
  还等着往下听呢,老人倒结束了,嗨,就这么着,也算个故事?三爷闭着眼摇摇头:“你倒说得我更瞌睡了。”
  彭老人倒也没生气,他举起手嗅嗅上面的桐油味儿:“我那口樟木棺材,这两天我也顺便在给它上油呢,真好,黑黑亮亮,瞧着都踏实……好了,回去!”
  三爷瞧他拎着小油桶的背影,头一次发觉,咦,这老人,背都那么驼下来了!三爷瞧见许多老人,从驼背开始,就老得特别的快了——好像被大地吸引着,往下面走似的。

 「二年経って、俺も世話してもらって嫁を取った。川のそっちのお前の方へは、それから行った事がない。」
 「この事は、もうすっかり忘れていた・・・だがおかしな事に、年を取ったら却ってはっきりと思い出される。一度あるんだよ、この橋を渡って彼女の家に行った事がな・・・」
まだ聞こうと思っていたのに、老人は口を閉じた。ああ?話はそれだけなのか? 三爷は目を閉じ頭を揺らした。「あにさんの話でもっと眠くなった。」
 
老人は気を悪くもせず、手を上げ桐油の臭気を嗅ぎ「俺の樟の棺桶も、昨日と今日、油を塗った。凄くいいぞ。黒く艶々で見てるだけで落ち着く・・・さあ、帰るか。」
三爷は油の小桶を提げた老人の後ろ姿を見て、初めて気がついた。ああ、この人の背中はこんなにも丸くなっていたのか!たくさんの老人を見てきたが、背中が曲がり始めると、急に老けこんでしまう、まるで地面に引っ張られて沈んでいく様ではないか。
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by dangao41 | 2011-08-15 04:54 | 魯敏・離歌  | Comments(0)